フレイム24話『君の毛皮にふぉーりんラブ☆』

頭が悪そうなタイトル。
設定ど忘れしたんだ。メガさんごめん……そのうち直すから……あとキャラ破壊は残念だけど基本(おい
 
 
 
 
「口笛はなぜ〜♪ 遠くまで聞こえるの〜♪……それはね! 高いところにいるからだよ!」
世界名作劇場に謝れ!」
 モココのココに頭をはたかれたが、暴走機関車ミミロルのミミはそれぐらいじゃ止まらない。テンションがポニータとは段違いだ。
「なんだよ、CMとかあるじゃん! トライさん!」
「黙れ!」
「でもさ、お爺さんは経験則で知ってないと変だよ」
「知るか!」
ココの最近の悩みは電撃が全く通用しなくなったことだ。『電気ショック→十万ボルト→かみなり』と段々と威力を増していたツッコミも、完全に効かなくなった。毎日30発以上のツッコミを受けただけはある。でも、電気や地面タイプではないのに性能がバグってやがる。
「でわでわ、みんなお集まり頂きセンキューで〜す☆」
「………」「……」「…」
 チャラ♀(?)かお前。
「あれ、みんなテンション低いね。盛り上げていこうよ!」
この世界にミミのテンションについていけるポケモンはいるのだろうか。
「依頼の説明をするよ! ここアプルス山脈のダンジョンでは近頃見たことのない珍しいふわもこしたポケモンがいるらしいんだ。是非ともミミはそのふわも…ポケモンと友達になりたいの! ふわもこハァハァ」
 あれ、なんか不穏。
「その珍しいポケモンをなんとしても捕獲し……げふんげふん……説得して、ミミのところに連れてきて欲しいんだ。連れてきてくれた探検家に『地図の欠片』あげちゃうよ〜!」
なんか本音が見え隠れしている。やっていいのか不安になる。お尋ね者でもないポケモンを説得という名の捕獲を暗に勧めるなんて、誘拐犯と変わらない。ついこの間まで連続誘拐事件が世間を騒がせていたというのに、自粛する気はないのだろうか。
このミミの企画に参加しているのはフレイムだけではない。ミミも大々的にポスターをプクリンギルドの貼って募集をかけたのだ──フレイムのポスターの上に重ねて。
 だから、マックローがいたり(だが二匹がもめている……あ、ヤミカラスが帰った)、ハッピーズがいる(多分趣旨が分かってない)。スバメも紛れ込んでいる。しかし今回は脇役だ。漫画だとちらちらコマの端に映る程度の活躍だ。
「ちなみにこんなポケモンなんだよ!」
 ミミは自筆のポケ相書きを配った。しかし、それを見たマダツボミたちの体の力はガックリ抜けてしまう。
 ドンメルポニータが顔を近づけ、ひそひそと話す。
ポケモン……にはどうやっても見えないわね」
現代アートなのかな。タクトさんなら分かるかも……」
「ポケ相書きにアートなんてしないでしょ。アタシ、これ冗談だと思ったんだけど……」
「凄い大真面目で渡してきたよね。つっこめばいいのかな」
 絵心は大事だ。ミミのポケ相書きは幼児の落書きレベルだったのだ。話題のフラスコ画(時事ネタ)より酷い。
「お役にたててね!」
「いや、逆に混乱させるだけだから! いらないから!」
 そんなミミにすかさずココが突っ込んだ。
 気を取り直して、探検隊たちは近くのガルーラ像で準備をしてからダンジョンに出発していく。
「ミミたちも行くよ!」
 ミミも行くようだ。正直、ココは行きたくないのだが、ミミのことだ。監視しなければ何をしでかすか分からない。ココは深いため息をついたのだった。
 皆が出発して30分くらい経ったころ──。
「ここが会場か?」
「あ、はい。そうですよ」
目つきの悪いコイルが遅れてやってきた。ワタッコのフウがミミに変わって説明をする。ふわもこの一員でありながら影の薄いフウはスタート地点で留守番をしていたのだ。影の薄い初登場である。
「──え? もうみんな行ったって? そりゃあマズイ。行ってくるぜ!」
そのコイルはダンジョンにすっ飛んでいった。
「行ってらっしゃーい」
影が薄いのにもいいことがあるのだ。ただ一匹騒動の外側にいて、巻き込まれることのないフウはこっそりみんなの安全を祈ったのだった。
(どうかミミに酷い目に会わされませんように)
探検隊達は目的のポケモンを探し回ったがなかなか見つけることはできなかった。探してダンジョンの奥へ奥へと進んでいく。難易度の高いダンジョンではなく、さほど苦労せずに中間地点についた。
 ここではライバルでも一旦協力することにして探検隊同士で情報交換をする。
「本当にいるのかな?」
「さっき、見たことのない足跡を見つけたわよ。もしかしたらそのポケモンかも知れないわね」
「出会えたとして……上手く説得できるか? そいつ『ミミから逃げてる』んだろ?」
「まぁ…」「うん…」「私もその立場なら…」「逃げるな」「ですよね」「あれは獲物を狙うハンターの目だった」「ボク対象外みたいで良かった」
 酷い言われようである。
「こっそり眠らせてつれていくとか……」「それ犯罪」
「美味しいオヤツで買収すればいいよ!」「睡眠の種入りの?」「それ、さっきのと一緒」
「──嘘も方便っていうし、いいんじゃないか」
追いついていた目つきの悪いコイルが言った。
「ダンジョン内は『無法地域』だろ。カクレオンから泥棒しようが、物変え玉で道具に変えようが許されるんだからな」
 探検隊たちの間に微妙な空気が流れた。そこは探検隊の暗部というやつだ。
「そういえば、ミミさんはどうしたのでしょうか」
 マダツボミはつとめて明るく話題を変えた。ミミとココの姿はここにはなかった。
「先に行ったのかな」
「僕らも急ごう!」
 ──ぱらっ。細かい砂が降ってきた。みんなは上を見る。
「ら、落石だ!」
 誰かが叫んだ。大きな岩が落ちてきた。みんな思い思いの方向へ逃げ惑った。岩が岩盤にぶつかって割れる。その衝撃で土煙が立ちこめた。酸素不足でポニータの火が一瞬消えた。
「みんな大丈夫ですか?」
「ぼくたちは大丈夫」「私も!」「俺も!」
 幸運にも誰も岩に潰されなかったようだ。安心してみんなが一息ついた時だ。
 ぴしり。──と岩盤に亀裂が入った。さっき落ちてきた岩のせいだろう。ばきばきん、と音をたてて砕け割れ──足元の岩でできた山道が崩れた。
「「「きゃああああ!」」」
 ポケモンたちの悲鳴と姿を再び舞った土煙が隠してしまった。
 
 

 少し気を失っていたようだ。目を覚ますとポニータの側にはマダツボミドンメルの姿はなかった。その代わりグラエナのフェルと目つきの悪いコイルがいた。彼らは周辺をキョロキョロと見渡している。
 ポニータは起き上がった。体がちょっと痛いが、大きな怪我はないようだ。デジャヴを感じる。
(最近よく高いところから落ちるなぁ。これ何回目だろう)
 マダツボミに出会ったのもサメハダ岩から落っこちたのがきっかけだった。
「ここは──あ、あんな高いところから落ちてきたのか」
 フェルは上を前足で指差した。高い上の方にさっきまでいた場所がちょっとだけ見える。
「リーダーたちは大丈夫でしょうか……」
「そうだなぁ……。あ、コイル。バッジ貸してくれないか」
「え? ちょっと待てよ!」
 フェルにバッジを奪い取られコイルは彼を睨みつけた。
 ぴぽぱぽ。
「よし、通話っと」
 ぷるるるる。ぷるるるる。
″もしもし。探検隊フレイムのリーダー、マダツボミです″
「リーダー!」
″その声はポニータですね。大丈夫でしたか?″
 マダツボミのバッジに繋がったようだ。バッジには無線機能もあるのだ。少しの距離なら通じる。主にダンジョン同じフロアにいる離れた仲間に『さくせん』を伝えるための機能だ。さすがのオーバーテクノロジーである。だから探検隊連盟は一体何者なのだろう。
「はい、怪我してません」
″それは良かった。わたしたちにも怪我はありません。ドンメルもこちらにいます。″
「こっちにはフェルさんがいます。でも、バラバラになっちゃいましたね……これからどうしましょう」
″ここからは目的地の山頂の方が近いはずです。そこで落ち合いましょう″
「分かりました!」
 通信が切れた。フェルはバッジをコイルに返した。
「ありがとな!」
「いや、貸りたんじゃなくて奪ったんだろ……」
「まぁまぁ、ここは大目に見ようぜ。改めて、俺はフェル」
「私は探検隊フレイムをやってるポニータです」
「……オレ様はグルルだ」
 グルルはポニータたちの方向に目を向けずぶっきらぼうに答えた。
「宜しくお願いします!」
「いや待てよ。オレは馴れ合うつもりはないぞ。先に捕まえたモン勝ちなんだろ?」
 コイルのグルルはそう言って、バッジをつけ直した。
 そして振り向いた。
「″でんじは!″」
 グルルは二匹に技を放った。体がびりっと来た。ポニータたちは麻痺して動けない。
「じゃ、お先!」
 ポニータたちを動けなくしてグルルは颯爽と去っていった。
「こら! ずるいぞ!」
 フェルが叫んだ。まだ動けないポニータとフェルはグルルの後ろ姿に『べー』っと舌を出した。
「先に行くなんて、巻き込まれフラグなんですからね!」
「それは言うなよ!」
 その頃──アプルス山頂。
「あーっはっはっは」
 大きな岩を上から転がり落として、高笑いする奴がいた。
「はーっはっはっは、扉を開こうとする愚か者共よ。後悔するがいい!」
「……頭がおかしくなったの? ああ、元からだっけ?」
そこにはミミが高圧的な台詞を言って仁王立ちしている。ミミが変なのはいつものことなのでココは軽く突っ込みつつ放置している。
「貴様、我になんたることを言うのだ。無礼だぞ!」
「はいはい、それで?」
「ふん、これだから愚民は」
あれ、誰だこいつ。ココは気がついた。これはミミが演技してるのではない。ふわもこ至上主義の変態のミミなら今もポケモンを追いかけ回しているはずだ。しかも、ミミの瞳の色は金色に変わっている。
(操られている……?)
 ミミの体の毛の中に無造作に突っ込まれている『地図の欠片』が青く光っているのに気がついた。探検隊をしてきて長いココ達は今まで様々な不思議な事に出会ってきた。だけど、今回はすぐには信じられない。
「アンタ、まさか……″地図の欠片″?」
 ミミの体を操る『三枚目』はココを鼻で笑った。
「今頃気付いたのか?」






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厨二展開になってきた……いや、三枚目が厨二なんだよ!