かえるとかたつむりとこいぬのしっぽ(さん

誰得か一切分かりませんが続きます。
……ポケダンかけよ(´・π・`)
最近はついったに入り浸っているのでブログにはあまり来ませんが、小説は書け次第upしていきます。つまりupがないということは……(



 
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かえるとかたつむりとこいぬのしっぽ(さん)
〜うみと男の子〜
 
 
 宇宙の果ての小さな小さな星には
 たったひとりきりの男の子と
 びんぼーでテキトーな女神様と
 ちょっとおかしな動物達がいました
 
 
 すてきなものを見つけるために、男の子は歩きつづけます。林を抜けて丘を越えて、岩場を抜けると、真っ青な地平線が見えました。男の子に生えたこいぬのしっぽは嬉しそうにパタパタ揺れました。
「……海だ!」
 男の子は女神様によって生まれつき知恵を与えられていたのですが、実際見るのは初めてでした。塩の香りが男の子に生えたこいぬのしっぽに染み着きそうです。男の子は靴を脱ぐと海岸に駆け出しました。
 
 じゅわ!
 
「ぎゃーー!」
 男の子の足が塩水に浸かった瞬間大変なことが起きました。体から水分が抜けて足がしおしおになったのです。慌てて海から足を引っこ抜きます。男の子はかえるとかたつむりとこいぬのしっぽで出来ています。ちょっとかたつむりの性質を受け継いでしまったのです。陸上の軟体生物を塩につけてはいけません。
「……女神めっ」
 リュックから水筒を取り出して、男の子はしおしおと縮んだ足に水をたくさんかけました。
(せっかくの海なのに泳げないんだ……)
 足だけでこうなるのです。全身浸かれば死んでしまうでしょう。きらきらと輝く波を指をくわえてみていることしか男の子にはできないのでした。
「すてきなものを探さなきゃ」
 靴を履くと男の子は海岸沿いを歩きます。真っ白な砂浜には時々宝物が落ちています。
「しろいかいがら、ぴんくのさんご、くろいしんじゅ、君はすてきなものかい?」
「いやいや、わたしはもっともっとすてきなものを知ってるよ。きんきらとっても綺麗なものさ」
 海からのそのそ這い出してきたのはダイオウグソクムシです。作り方をちょっと間違えたらしく女神様は『超低燃費になっちゃった(てへぺろ』とか言っていました。
「すてきなものどこにあるの?」
「まっくらまっくら海の底」
「まっくらなのに綺麗なの?」
「暗いからこそ見えるのさ」
 海の底のすてきなもの。
 女の子の材料にふさわしいでしょうか。
「だけどダイオウグソクムシくん。僕は海には入れない。きれいなものは貰えないよ」
「それは残念だ。君にも見せたかったのに」
 ダイオウグソクムシはいっぱいの足をうねうねさせて残念そうにしました。
 ばしゃん!
「呼ばれて飛び出る女神さん!」
 なんか海から女神が登場しました。
 意味が分からない登場の仕方です。
 奇跡の無駄遣いです。
「呼んでねぇよ」
「どうして君は私に対して態度が悪いのかしら? 私はあなたの創造主よ、つまりお母さんなのよ?」
 無自覚なのがタチが悪いです。女神様は海から上がると、男の子の額に人差し指をつけて、お祈りをしました。
「男の子に、女神様の加護を」
 きらきらと加護が男の子の回りで光りました。なんだか首もとがもぞもぞします。
「これで君はしばらくは海に入っても大丈夫よ。泳げるようにしたし、ついでにエラもプレゼント」
「これエラかよ! こんなことができるのなら僕の体質治してよ!」
「君の体質は君の本質に関わるから治せないってば……」
「はぁ……。分かったよ。ダイオウグソクムシくん案内してね」
 エラ呼吸を手に入れた少年は服を脱いで、パンツとカエルの帽子だけを身につけて海に飛び込みました。さすが女神様、身体はしおれません。海に潜るダイオウグソクムシと男の子に女神様は声をかけました。
「奇跡は三時間しか保たないから早く帰ってくるのよ。深海で効果が切れたら即死よー」
「ごぽごぽ(軽っ!)」
 深く深く海に潜ります。光はだんだん届かなくなり、魚の数も減っていきます。
「おや、深海にいくのかい。気をつけな」
 クジラが男の子の隣を通り過ぎながら声をかけました。やがて全く光が届かなくなりまっくらになりました。はぐれないよう男の子らダイオウグソクムシを抱えます。
 暗い暗い海。なのに何かが見えた気がして男の子は目を凝らしました。
「きらきらしてる」
 まっくらな深海で何かが輝いています。ダイオウグソクムシの声がします。
「これがすてきなものだ」
 きらきらと七色に輝いています。
「光る……くらげ?」
 なないろのくらげです。くらげはきらきらきらきらと光りながら深海を漂っています。なるほどこれが『まっくらだから見えるもの』なのでしょう。男の子が手を向けると、キラキラした光のかけらが手に触れました。その光のかけらをほんの少し男の子は握り締めました。
(しんかいのひかり、きれいだな)
 すてきなものみーつけた。