フレイム23話『さよなら、トゥルーエンディング』

マグナゲートが出ようとXYが出ようと探検隊世代縛り
フレイムラストの新大陸編(仮)は何でもありの予定ですが、それまで遠いぜ。
新御三家は個人的に、ケロマツハリマロンフォッコ
フォッコはかっこよく進化しそうだけど、第一形態はそんなに惹かれないなぁ…。ケロマツど根性ガエルにしか見えないと思ってたら、ピクシブ掲示板を見たらみんな考えてました。やっぱりな! ニックネームはぴょん吉で!
で、相方とケロマツ進化予想をしてみた。カエルジャンルはすでにたくさんの前例があるので被らないように……カエルの音楽家とかどうだろう。
ちなみにネット予想だと『忍者』とか『仙人』説が多いようです。忍者はいいな。
 
 
以下フレイム。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもないお話。
 
 
 
「記憶喪失病?」
「ここ数週間で記憶喪失になったポケモンが多すぎるんだ。偶然かもしれないけど、ちょっと引っかかってね。もしかしたら、何かの伝染病かもしれない」
マッスグマのザグマがフレイムの基地を訪れて言った。物知りなザグマにはフレイムの三匹は何度か世話になっている。
 ちなみにブレイが浚われてから二週間しか経っていない。長そうに見えても物語が始まってから1ヶ月くらいだ。
 
1日目:やってくる。
3日目:試験を受ける。
4日目:チーム結成。
5日目:アップルと喧嘩。
7日目:幽霊に憑かれる。
14日目:ブレイ攫われる。
15日目:嵐が来た。
18日目:えるー難破。
19日目:ガンキチ出発。
21日目:ロボットパニック
24日目:タクト捕まる。
27日目:←now
 
「時系列がおかしいのは『書いてるうちに設定変えちゃった、てへぺろ☆』なんだって!」
「突然どうしたんだい?」
「『完結したらちゃんと辻褄合わせるから』だって!」
「……は?」
 変なことを言い出したポニータに呆れつつ、ザグマはフェルの作ったお菓子を食べる。今日のおやつはフルーツポンチだ。フェルは『かんてん』というものまで作ってしまうらしい。魅惑の新食感だ。記憶はないが知識はあるらしい。
「あー、おいしい」
 ザグマは幸せそうな顔をした。背景にお花が舞っている。
「嫁に欲しいよ」
「フェルは♂ですよ」
「そういう意味じゃなくて」
 そんな会話をしながら、ペロリと平らげて本題に戻った。
「それで、記憶喪失のフェルくんを検査したいんだけど…」
「出かけてますよ」
「いつごろ帰ってくるか分かるかい?」
「さっぱり。というか、普段何してるか分からないんですよね。『記憶戻すためには色々体験するのがセオリーだろ』と言って。あ! この前は高い岩の上で格好つけて降りれなくなってました」
「えー」
 という話があったことを、ザグマと入れ替わるように帰ってきたグラエナのフェルにポニータが伝えると、フェルは心底嫌そうな顔をした。
「検査とかヤダよ俺」
「子供かっ」
「あー、そのうち行くよ」
「行かない気ですね」
「だって、俺はごく普通の変哲のないポケモンだぜ?」
「いや、記憶喪失じゃないですか」
 あまりにも大人げない反応だ。だけど、ポニータは気付かなかった。ぎり、と小さくフェルが歯ぎしりをして──顔を少しだけ歪めたのことを。
「まぁ、そこは置いといて」
 しかし、すぐに明るい笑顔になってフェルは言った。
「号外見たか? 連続ポケモン誘拐事件のホシが上がったんだってよ!」
「フェルさんが出かけてる日に、誘拐犯が連行されるところを海岸で見ましたよ」
「えー。ずりぃー」
 代行屋と旦那による『連続ポケモン誘拐事件』は謎を残しつつも一応の解決を見た。海運隊連盟の一団による捜索活動が難航していたところに通報があり、無事時見つける事が出来たのだ。浚われたドーブルのタクトも帰ってきた。ポニータたちはこの数日間凄く彼のことを心配していたのだが──。
「せっかく『ブラストバーン』持ちのポケモンに初めて会ったのにスケッチできませんでしたよ……」
 凹んでいるが元気だった。何だか拍子抜けしてしまった。タクトが浚われたせい延びた出航は明日に迫っていた。
マダツボミはいるかい? 手紙が届いてるぜ」
 フレイムの探検隊基地(=マダツボミの家)に手紙が届いた。マダツボミはちょっと陽気なペリッパーから受け取って差出ポケを確認する。
「チーム『ふわもこ』……聞いたことはありませんね」
 びり、と封を切る。
「えーと、なになに?」
《けーぐ。こんにちは! みんなのアイドル、ミミだよ! ミミは、チームふわもこのリーダーをやってるんだ☆》
 冒頭を読んだだけでマダツボミは頭が痛くなったが、めげずに続きを読むことにする。
《そうそう、ポスターを読んだよ。ミミも『地図の欠片』を持ってるみたいなんだ。》
「何ですって?!」
 一気にマダツボミにやる気がみなぎった。自腹を切ってくれたポニータには感謝しなくてはならないかもしれない。
《あげてもいいけど……その代わりお願いがあるんだ。ミミは頑張っても手に入れることはできなかったけど、君たちにはできると思うんだ。ということでこれはミミからの『依頼』だよ! お礼は『地図の欠片』。頑張ってね! それで依頼内容だけど──》
 地図の欠片が報酬となる依頼。マダツボミはさっきよりも緊迫感を感じながら手紙の続きを急かされるような気持ちで読み進めた。
《ふわふわもっこもこ!》
「──はい?」
《まだ見ぬふわもこなポケモンを探してよ!》
 何をさせる気なのか全く分からない。何だコレ。
《ということで、今日のお昼に『アプルス山脈』に現地集合! 捕まえたポケモンに『地図の欠片』をあげるから頑張ってね!》
 要領はちっとも得ないが、つまり、多分ポケモンを捕まえればいいらしい。釈然としないが行くしかない。地図の欠片が手に入るまたとないチャンスだからだ。マダツボミドンメルポニータを呼んだ。
「地図の欠片ですか?!」
「はい、準備を整えたら行きましょう」
 その騒ぎにグラエナのフェルまでふらりとやってきてミミからの手紙を覗き見た。
「……なにこれ楽しそう。俺も行きたい!」
「「「えっ」」」
 フレイムと居候フェルはアプルス山脈に向かったのだった。ちなみにアルプスじゃなくてアプルスである。
 
 
 

 久しぶりに帰ったブレイの家のポストにはチラシや手紙でパンパンだった。
 タクトは開拓隊に戻り、びっけは突然いなくなった。ロロとは笑顔で別れた。別れ際に、ブレイとロロは連絡先(住所)を交換した。なんとなく流れだったのだが、色違いのせいで友達が少ないブレイにとってはちょっと新鮮だった。
 そのロロからの手紙がもうポストの中に入っていた。ペリッパー仕事早すぎだろ。その手紙の内容は終始真面目で、一言で纏めると『ありがとう』だった。
(私は感謝されるような事はしていないのだけど……)
 ちょっとブレイは困ってしまった。
 ブレイは翌日の『約束の時間』にひみつきちに向かった。だけど、いくの姿はなかった。
(……ずっと待ってるわけがないよね)
 落胆して力が抜ける。予想はしていた。ブレイはいくの家を知らなかった。出会ってまだ数週間の友達だったから、お互い言う機会がなかったのだ。
 ブレイは暫く待っていたが、いくは来なかった。
(もしかして嫌われちゃったかな。いくの家を探した方が早いかもしれない。たしか、トレジャータウンの……)
 ブレイが半ば諦めた時だった。
 きぃ。秘密基地の扉が開いた。開いたのは赤いスカーフをつけたイーブイの女の子だった。
「いく!」
 ぱぁ、とブレイの顔が明るくなった。だが、いくはブレイの予想に反して──動かなかった。ただ、ぽかんとしている。
「……誰? どうして、いくの名前を知ってるの?」
 いくは目をパチパチさせた。ブレイは固まる。
「どこかで会ったっけ?」
「……冗談でしょ?」
 傷ついた顔をしたブレイに、日頃は脳天気ないくも察した。目の前の銀色のイーブイのことを自分は『忘れてしまっている』のだと。
 ブレイはいくの記憶喪失を知らなかった。だから、彼女にはいくがとぼけて冷淡な態度をとっているようにしか見えなかっただ。ブレイは代行屋に捕まっても檻の中でも泣かなかったのに、目に涙を溜めて駆け出してしまった。
 いくは慌てて追いかける。
「えっと、ごめん! 聞いて欲しいことがあるの……」
 いくの声は届かない。銀色が太陽を浴びて光った。
(──かっこいい)
 どうしてだろう。さっき、いくの小さな胸は罪悪感で押しつぶされそうに痛くなったのに、どうしてか今は暖かいものでいっぱいになった。
(これだ! 大切なもの!)
 忘れてしまって悲しかったことだ。
「待って!!」
いくは大きな声で叫んだ。ビリビリと空気が震える。その迫力にブレイの足が止まった。
「ごめん! あのね、いくは病気のせいで記憶喪失になったの。わざとじゃないんだ。……だけど、大丈夫だよ」
 そうだ。この銀色だった。覚えてないけど分かるのだ。思い出せないけれど、記憶が戻る気配なんてちっとも感じないけど──それでも。
「だって、いくは君のことを知ってるんだから」
いくはブレイに追いついた。逃がすまいと飛びついた。あの日から肌身離さず身につけているピンクのリボンも一緒に。
 今度は絶対忘れない。
 いくは──彼女自身は気づいていないのだが──1ヶ月前にブレイと初めて出会った時と同じように真っ直ぐな瞳を向けブレイに言ったのだった。
「いく達は友達だよ!」




友達編終幕
nextふわもこ編